矢野原博士の理論:矢野原博士の完全無農薬・水耕栽培は20年以上にわたる実験や研究から構築された独自の農法です。

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「矢野原博士」理論

矢野原式水耕栽培の特徴は20年以上に渡って下記分野にて実験・研究されてきた結果の手法であり、様々なノウハウ・技術力が蓄積されております。

どうして恐竜時代の生物は巨大な体を維持することの出来たのでしょうか?

現代はその輝きが消失しつつある地球ですが、過去に地球の生き物がひときわキラリと輝いた時代ありました。ご存知でしょうか。
それは、ジュラシックパークという映画にも登場した、今から二億年程前の中生代、ジュラ紀です。巨大な恐竜や爬虫類が約一億年にわたって地球を支配した時代です。

陸上には体重100トン、立ち上がると体高が25メートル以上もある恐竜もいたのですから、想像を絶する生き物たちが地上を闊歩し、空を飛びまわり遊泳していたのです。

ここで少し別の角度でこのジュラ紀を眺めてみたいと思います。
恐竜の大きさに目を奪われがちなジュラ紀ですが、ポイントは、その恐竜を支えた栄養価の高い食べ物が十分にあったということです

巨大な生き物が、そのからだを維持し、エネルギーを得るために摂る餌の量を考えたとき、ジュラ紀の輝きが見えてきます。
恐竜に比べるとごく小さな生き物である象ですら飼育するとなると餌の量と質を確保するのに四苦八苦するとのことですから、数十トンもある恐竜が一日に求める餌の量とその栄養価たるや凄まじいものであったと想像します。
そして、食物連鎖からしますと生態系が一億年も安定していたのですから多数の草食動物が生息していたことになります。
当然、それらの餌となる裸子植物の大森林が地球を覆っていたということです。

ジュラ紀が輝いていたのは、実は恐竜の出現でではなくて、植物の大繁殖にあったのです。
そして、また、植物の繁殖を促す温暖な気候と強い太陽光線、さらに、すべての生命体を支える豊富な水、とりわけ植物の成長に欠かせない養分とミネラルの溶解した水の存在があって初めてジュラ紀は成立したのです。

一方、巨大な恐竜はカルシュウムやマグネシュウム、イオウ、カリウムをはじめとする高い質とバランスのとれたミネラルを十分に吸収しなければ100トンもの体重を支える骨格を形成することは不可能です。

ミネラルは、言うまでもなく彼らが飲む水と食べる餌から大量に供給されていました。
しかし、ここに、ひとつの疑問が浮かび上がると思います。それは餌やミネラルが豊富であることだけで巨大な生き物が誕生するのかということです。
そこには、別の環境条件が生物学的要因を強烈にバックアップしたのではないかという想像です。ここで、もう少し中世代の自然環境を考えてみたいと思います。

マイナスイオンの豊富なジュラ紀

まず、ひとつ前の古生代(3億年前)は高温多湿でジメジメしたシダ植物の湿林と両生類の時代でありました。
しかし、中世代になると湿度も下がり少し乾燥して清々しい気候になりました。
そして、湿気を含む地表に強い太陽光線が当たると、地表か羅激しい水の蒸散と上昇気流が起こり、巨大な積乱雲が生じて、毎日、数回の強烈なカミナリを伴う大スコールが降りそそぎました。
ここにマイナスイオンの存在があります。

それは、雷雲はマイナスイオンの大集団であり、それが地上にカミナリとして落ちると、そのあたり一帯は地表も地表に近い地上もマイナスオインが豊富になるのです。

今日でもカミナリが落ちた地域では稲がよく実り豊作となること、きのこ類が大形となりよく出ること、小動物の発生が顕著で増えること、草花の成長が目立つことなど生命体に対する好影響がみられます。
ジュラ紀は大きなカミナリが広範囲にわたって落ちていたのですから、地球全体の地表や地表に近い大気、それに河川や水たまりの水までも、全てがマイナすしイオン化していたものと想像されます。
特に、ミネラルを豊富に含む水が落雷によって分子が細かくなりマイナスイオン化しますと、その水が吸収して育つ植物も、それらの植物を餌とする動物も、からだのつくりががっちりした超健康体になって、大きく成長するのです。

以上のことをまとめますと、ジュラ紀は、栄養価の高い豊富な餌、質の高いマイナスイオン化した水、温暖な気候、澄みわたる大気、紫外線のやや強い太陽光、マイナスイオンの強い上昇気流といった環境が相乗的に作用しあった結果、生き物が徐々に巨大化して恐竜が誕生したと考えるのが自然であると思います。

この中でマイナスイオンの生命体への作用は、酸化、老化を防ぐ抗酸化作用、即ち還元作用であります。ジュラ紀を参考にしながら、我々が超健康を目指す上でマイナスイオンをどのように取り込んでゆくかを検討したいと思います。

活性酸素でからだが錆びる

最近、地球の科学汚染が深刻化する中で、にわかに「大気中のマイナスイオン」の重要性が注目され、諸外国を含めて、この分野の研究が活発になってきました。
それは近年、老化の促進や動脈硬化、ガン、糖尿病などの成人病の原因が、体内で作り出される活性酸素によって起こる細胞の酸化であることが解明されたことと関連があります。

我々の体の中でも活性酸素によって鉄と同じように錆びるという現象が起こり、錆びる状況がひどくなると鉄と同様、ボロボロになって急激な老化から死に至る過程が科学的に証明されています。
ご存知のとおり、我々は肺から吸収した酸素を使って細胞のミトコンドリア内でブドウ糖を燃焼させて生命を維持するために必要なエネルギーを生産しています。
また、体内の種々の化学反応にも酸素が役立っていますが、これらの反応の過程で、からだの細胞に障害を与える凶暴な活性酸素が発生します。

活性酸素とは、いわば体内から出るダイオキシン並みの産業廃棄物なのです。その量は摂り入れた酸素量の約2%にも達します。
活性酸素は電子が不足して、プラスに荷電した酸化力の強い酸素です。
それ故、自身が安定するために体内の電子を強引に奪う、凶暴化した「電子ドロボー」と考えればよいのです。
この活性酸素によって電子を略奪された箇所は酸化して錆びることになります。

特に狙われる場所が、脂質に富む細胞膜です。細胞の膜は、不飽和脂肪酸が主成分で、丁度、テンプラ油が酸化しやすいことと同様です。

酸化すると過酸化脂質に変質し、膜の機能は消失して細胞の壊死が起こります。
この現象が続き、細胞の壊死が広がると、組織や器官に障害が発生することになります。それが慢性疾患という現象です。

活性酸素の害からからだを守るスカベンジャー

活性酸素と疾病の問題が医学界で注目を集め始めた頃、健康食品業界ではSOD(スーパーオキサイド・デスムターゼ)酵素様食品がブームとなりました。活性酸素のこともよくわからないままに購入された方も多かったことと思います。

我々のからだは、体内で発生する活性酸素が細胞膜などから電子を奪い、からだを酸化させて錆びつかせることを黙視していることは決してありません。

強力な還元力を持つ活性酵素除去酵素(スカベンジャー)を幾種類も備えています。

その内の一つがSOD酵素なのです。ですから、本来からだの細胞が自身を活性酵素の害から守るために作り出す酵素で、からだの外から与えるべきものではないのです。
カタラーゼ、グルタチオン、グルタオキシターゼも細胞が作る優れたスカベンジャーです。
また、食べから摂取するビタミンE・C、βカロチン、キサントフィル、フラボノイドなども電子の豊富な抗酸化物質といわれ、スカベンジャーの仲間に入ります。

それでは、スカベンジャーの共通点はと言いますと、前述の「酸化還元反応」を読み返してくださればお分かりいただけると思いますが、それは、電子が欲しくて凶暴化している活性酸素の電子を与えておとなしく(中性化)させる「還元剤」であると考えれば分かりやすいと思います。

水や空気の中のマイナスイオンが健康をつくる

さて、我々が生活する空気中には、目には全く見えないマイナスイオンやプラスに帯電した超微粒子(原子、分子、小さな物質など)が無数に浮かんでいます。
この電気を帯びた粒子のことを「イオン」と呼び、電子が多いマイナスイオンと、電子の不足するプラスイオンの二種類があります。

中生代の恐竜の時代は、マイナスイオンが満ち溢れていたことでしょうが、現代の空気は、プラスイオンが優勢でマイナスイオンが少なくなっていることが測定されています。

近代文明がプラスイオンを増加させて、地球環境を酸化型に変えてしまった結果、自然環境の回復能力が消失したことに原因があるのです。

排気ガス、農薬、電気や電子機器から出る電磁波、化学物質などは全てプラスイオンを減少させる元凶です。

では、地球規模でマイナスイオンを増やすにはどうすればよいかと申しますと、自然環境に負担をかけない科学文明へ切り換えること、熱帯雨林を始めとする森林地帯を元の状態に戻すとともに、土壌を回復させて還元型微生物を増やすこと、また同時に地下資源の掘り出しを押さえることであると思います。
特に植物は、葉面から水蒸気とともにマイナスイオンを多量に放出する生き物です。大切にしなければなりません。

住居にマイナスイオンを増やす方法

次に住居にマイナスイオンを増やすには、家のまわりや室内に植物をできる限り多く置くこと、また、電子は小さな水の粒子(100万分の0.5〜1.0ミリ)に付きやすいので室内を湿度50〜60%に保つと同時に、風通しを良くすること、電磁波が出るものは必要な時以外の使用を控えること、化学物質をまわりに置かないことなどに留意することです。

マイナスイオンは、電子を余分に持ち、還元作用があることから、活性酸素を除去できるれっきとしたスカベンジャーなのです。からだの酸化防止に大いに役立つ重要な要素が我々の身近かな空気の中にあるのです。

森林浴がからだにすこぶる良いのも、実は、植物や土中の発酵型微生物から多量に放出されたマイナスイオンの豊富な空気を肺や皮膚から吸収して、酸化したからだの細胞を電子で還元することにあるのです。本来、森の霊長類であったヒトが健康を維持する究極の方法は樹木(植物)や微生物との共生であると思います。

アトピーの方や病気がちの方が山間部や田舎に転地するとよくなるのもマイナスイオンを吸収することにあります。

昔から「早起きは三文の得」という言葉がただ漠然と使われていますが、その意味は我々の生活空間にマイナスイオンが最も豊富になる時間帯が朝方にあることから、早起きして、その空気中の電子を十分に吸収し、一日の活力と健康を養いなさいといったことではないでしょうか。

我々が利便のために作り出した電気機器や物質からはプラスイオンが放出され、加工食品はプラスイオン化しています。現代のようなプラスイオンの多い中で生活していますと、からだから電子が奪われてからだが酸化し、錆びついて、気付いた時には、立て直しがきかないボロボロの状態。それが慢性化したのが成人病であり、末期のガンであると冒頭に述べました。

マイナスイオン(電子)をいかに少しでも多く摂り込んでゆくか、そして常にからだを電子の多い還元型に保つかが超健康を得るための一つの鍵になると思います。
前回、触れましたとおり、マイナスイオンは飲み水や風呂のお湯からもからだに摂り込むことができます。
また、炭をうまく使ってマイナスイオンを増やす方法もあります。これらの方法は、また、機会をみてお話したいと思います。

人体にとっての水

私は、「人体は突き詰めれば60兆個の細胞を飼育する水耕システムである」と考えております。

体重の65%は水ですから、60キロのヒトでは約40リットルの水を抱えていることになります。その水を寝袋のような表皮細胞で覆われた袋に詰めて、細胞を体液という水に浸し、生活する生き物がヒトなのです。地球を「水の惑星」と呼びますが、人体を「水の生き物」と言ってもおかしくないのです。

血液という水を心臓というポンプで細胞間をぐるぐる循環させ、細胞が生きていく上で必要な酵素と栄養を供給し、一方、細胞が放出する老廃物を受け取って肝臓で分解、腎臓から排出することで細胞の飼育を行なっているのです。

全ての物質は水に溶解して吸収、排出されます。水はまさに物質を運搬するトラックに例えることができます。この水トラックの質と機能性が健康にとってキーポイントになります。

また、体内での化学反応も、体温調節も水なくしてはできません。水は酸素と水素のごくシンプルな化合物ですが、このように生き物にとっては欠くことのできない最も大切な物質です。

化学物質による水汚染

この水が我々人類の作り出した化学物質で汚染が進み、近い将来、地球上の生き物にとって致命的な影響が出るとの懸念が広がっています。

大気の汚染と同様、かなり厳しい規制で対処しなければ取り返しのつかない事態になることは自明です。

特に、日本は長年にわたって大量の産業廃棄物の処理を、安易な地下に投棄するという方法で済ませていたツケが、今、地下水汚染という形で顕在化し、対策の立てようがない最悪の事態に陥りつつあります。行政は、責任を痛感すべきであると思います。

次に、原水を汚染させている最大の原因が各家庭から出る生活雑排水でありますが、恐らく一般の方々は、全く気づいていないでしょう。

強力な合成界面活性剤を主成分とする洗剤、そして油脂、さらに多種類の有機物質が各家庭やレストランなどから毎日排出されるのですから、その総量は想像できない程の膨大さです。

それが水道水の原水である河川や湖に流入して汚染の原因となるのですから、浄水場は処理能力をフル回転しても浄水できなくなって、塩素の投入を増やす以外に方法がとれなくなるのです。

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先進国を自負する日本ですが、下水道の普及率は全国平均で50%をきるといった原状です。地方や山間部では20%以下のところも多く、生活雑排水が河川や湖に流れ込むのは当然のことなのです。

細胞の活性化をはかり、免疫力を高めるためには

我々のからだは微小な生き物である細胞の集合体である。たった一つの受精卵が細胞分裂と機能分化を繰り返し、誕生時には三兆個、成人になる頃には六十兆個に増えます。

この六十兆個という数がどれくらいかと申しますと、現在の世界総人口が約70億ですから、実にその一万倍という途方もない巨大な細胞社会が出来あがると言うことなのです。そして、健康とは、この細胞社会がいつも順調に機能している状態をいうのです。

よく肝臓が悪い、腎臓がよくないと言いますが、細胞社会的な見方をしますと一箇所のみが悪いということでなく、全身の細胞が同じように病的状態にあると考えるべきなのです。

今の医学は、病状を局所的に診ますが、人体を細胞の社会的な共同生命体であるとの認識を持つことができれば、局所の病状を全体的な位置付けで捉まえ、診断できると思います。ですから、今の医学では肝臓を治療したら命を落としてしまったということが起こりうるのです。

ガンの場合も同じことが言えます。一箇所にガンが見つかれば、その人の細胞社会は前身どこにガンが生じてもおかしくない状況下にあるとの認識が必要です。
ガン細胞がひとつ出来てそれが増殖し、検診でひっかかるには十年以上かかると言われます。
一方、ガン病巣を切除したものの、翌年別の箇所でガンがみつかると、それを「転移」と言います。「転移」とはガン細胞が遊離して別の組織で増殖し、新たにガン病巣を作ることを指すのですが、病巣を形成するには余りにも短時間すぎて時間的な説明がつかないのです。

むしろ、ガンが一箇所で見つかった時には、すでにガンの芽は全身に散らばって存在しており、免疫力が落ちた時点でいっせいに芽が大きくふくらに始めると捉えた方が自然です。ですから、ガンの治療にあたっては、免疫力を落とさぬように全身的な治療と平行して患者の細胞社会の環境改善を行わねば根本的な治療にならないのです。

細胞内の水をきれいに

我々のからだは、体重の約70%は水です。体重が60キロの人は、大きなバケル2杯強、約40リッターの水を丈夫な表皮という皮に詰めて持ち歩いているのです。この水は、4億年前、動物が水中から陸へと上陸した原始の海水そのままで、現在の海水の4分の1濃度と言われます。

さて、表皮という皮袋の中に60兆個の細胞を押し込み、水を40リッター入れるとどうなるでしょうか。細胞は体積がありますので、結局、細胞社会は水浸しの社会ということになります。
さらに極言すれば、我々のからだは、普段、我々が取るに足らない生き物と考えているゾウリムシやアメーバと同じ微小な単細胞生物の集合体で、しかも薄い海水中でしか生きられないという生き物なのです。

我々の細胞社会が病的な状態に陥る状況を熱帯魚を飼育するアクアリュームに例えて考えてみますと分かりやすいかと思います。一般的なアクアリュームは、水槽の中に濾過槽を設けてポンプで水を送り込み、水を循環濾過しています。また、エアーを水中に放出して水中の溶存酸素を一定に維持させます。

さて、水槽のガラスをからだの表皮としますと、中の水が体液、魚が細胞、濾過槽が腎臓、ポンプが心臓、エアーレーションが肺、そして魚に与えるエサが我々の食べ物と考えてください。

魚にエサを与えるとよく食べて糞や尿を出します。適量のエサを与えているうちは水の濾過も順調で、飼育水は澄んでおり問題はないのですが、エサの量を徐々に増やしてゆきますとある時点で、エサの残量と魚の排泄物の量が濾過槽の濾過能力を超え、水の汚濁が始まります。

さらに汚れが進むと魚の体表が傷つき、潰瘍化して悶え死することになります。もちろんエサの質が悪い場合は、事態がさらに急速に悪化することは言うまでもありません。

アクアリュームの状況と同じようなことが我々の体内でも起こりうるのです。要するに我々個体は、六十兆個という膨大な数の細胞を体液という薄い海水中で飼育していると考えればよいのです。
過食や悪食、低栄養の食事を続けていると肝臓の毒素分解能力と腎臓の濾過能力が追いつかなくなって体液が汚れ始め、細胞社会が正常に作動せず、ついには個々の細胞がアクアリュームの魚と同じように潰瘍化して悶え死にする事態になります。それが、ガンをはじめとする生活習慣病と言われる現代の病なのです。

細胞生物学的に病気になる機構を考えると、病気を予防するのも治すのも、細胞の生活している場、即ち環境(体液)を汚さないこと、改善することにあることは言うまでもありません。

抗酸化物質が我々を救う

先日、マレーシアとシンガポールを訪れた時に、健康を考える上で非常に参考になることがありました。現地の方に病気や免疫、酵素の話をして、ガンも自己免疫力を高めておくと発病が抑えられるといった話をしましたところ、「この国ではガンは少ないが、心臓病のトラブルが多いので、心臓病によい酵素はないか」との質問がありました。

この国ではヤシ油を多用した料理が多い上、暑い中での油の管理が不十分なこともあって、酸化油を摂取する頻度と心臓病との関連は容易に理解できました。

しかし、この国の偏った食事習慣から考えると、ガンが少ないということに納得ゆきませんでした。

そして、後日、マレーシアからシンガポールへバスで移動中、外の風景を眺めていた時、「はっ」とこの国にガンが少ないという理由が分かったのです。
それはマレーの人々は日常、野菜や果物をよく食べます。それらの植物はさんさんと降り注ぐ太陽の下で栽培されているため、葉菜類は濃緑色で葉が厚く、ごわごわしていますし、果物類は色鮮やかな原色で、木で熟したものを販売しています。

植物が抗酸化物質を作る

植物は移動が出来ないために、紫外線によるからだの酸化を防止する手段として大量に抗酸化物質を自ら生産し貯えています。

ヒトは原猿人からはじまって、猿類、類人猿を経て霊長類に進化しましたが、その長い時間の流れの殆どは原生林の中でした。

そして、大木から出るマイナスイオンを浴び、植物が貯えた抗酸化物質をエサとして摂取して、からだの酸化と病気を防ぎながら進化してきたのでしょう。森林という環境と太陽光をふんだんに浴びた植物を食べる生き方がヒトの健康の基本出ると思います。

マレーの人々はガン発生の引き金となる活性酸素や紫外線の害を抗酸化物質を豊富に貯えた野菜や果物を日常的に摂ることで除去し、ガンを自然な形で防いでいたのです。
また、のんびりとしたお国柄、毎日の時間がゆったりと流れ、ストレスという言葉に縁がないような環境もガンが少ない理由なのかもしれません。

一方、日本の場合はどうかと考えますと、工業生産によって、電磁波や農薬、食品添加物をはじめとする化学物質など、多くの酸化物質(フリーラジカル)が身近な環境に溢れており、さらに毎日がストレスの連続といった生活を強いられています。
それらを防ぎきれなくなってからだの酸化が進み、ガンをはじめとする多くの難病を生み出しているのが現状です。

もちろん、我々のからだの細胞も抗参加酵素(スカベンジャー)を産出して懸命にからだ、特に細胞膜が酸化される(サビる)ことを防いでいます。

細胞が産出する抗酸化酵素には、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、タカラーゼ、グルタチオンペルオキシターゼの3種類があります。

また、これらの酵素を作る過程でその核となるミネラルが必要です。それは、亜鉛、セレン、銅、鉄、マンガンの五種類で「抗酸化ミネラル」と呼ばれています。毎日、超微量ずつ摂取して不足させないようにすることが肝要です。

さて、マレーシアの野菜や果物が抗酸化物質を多量に含み、それらを食べることでガンを予防できるのに比べ、日本では、大半の野菜や果物は効率を考えてハウス栽培です。
ハウスには紫外線カットフィルムを張り、作物の生長を促します。植物は紫外線が当らなければ抗参加物質を多量に作らなくてもよいし、葉を厚くする必要もないので、その分、成長が良くなります。
そして、薄緑色の見た目においしそうな柔らかい作物に仕上がるという訳です。しかし、問題は、肝心の抗酸化物質の含有量がごく少なく、我々が健康を維持するために摂る食べ物ではないという点です。

されに、ハウス内は閉鎖環境である上、冬場でも温かいこともあって病害虫の発生が多いため強い農薬や殺虫剤の使用頻度が、一般の露地栽培よりも高くなります。そして、散布した薬剤はハウス内に篭り、高濃度で作物に付着することになります。

有機栽培であれば全てよしという風潮がありますが、消費者はもう少し口にする農作物の素性を吟味すべきであると痛感致します。

脳の酸化を防ごう

先に我々のからだは、細胞の集合体で、細胞が各々の役割を分担して社会を形成しているという話をしました。

では、この社会は何によってコントロールされているかと申しますと、首から上の「脳」であることはご存知と思います。

脳は、からだの外の情報を目・耳・鼻・皮膚・舌などの受容器(レセプター)に伸ばした末梢神経でキャッチすると直ちに判断して行動に移したり、物事を記憶したり、全く新しいものを創造したり、体内の環境条件や、内臓の動きを調節したりと、信じられないような多様な仕事をこなしています。

そのためには、脳は膨大な神経細胞のネットワークを動かすのに必要なエネルギーを常に生産しなければなりません。脳が大量のブドウ糖と酸素を消費するのはエネルギー(ATP)を確保するためです。

肺から摂り込む酸素の実に25%が脳で消費されますが、酸素を大量に使えば使うほど、能は大きなリスクを負うことになるのです。
それは、細胞内の発電所=ミトコンドリアで、ブドウ糖を酸素で燃焼させてエネルギーを取り出す過程で活性酸素が必ず発生するということです。使用した酸素の2%が活性酸素に変化するのですから、大変です。活性酸素はフリーラジカルと呼ばれる電子が一つ足りない凶悪な酸素です。隙あれば脳細胞の膜から電子を奪い取り、その箇所を酸化させる恐ろしい酸化剤なのです。

細胞も活性酸素を消去する目的で前述の3種の抗酸化酵素を産出して自らを守ります。しかし、華麗とともに酵素の生産能力が低下したり、我々の周辺の水や空気、食べ物中に含まれる種々の酸化物質が体内に連続して大量に取り込まれたりしますと、細胞が産出する酵素だけでフリーラジカル(活性酸素や酸化物質)の処理ができず、細胞膜が少しずつ酸化されます。このような状況下で、フリーラジカルによる障害を最も受けるのは「脳」であることはおわかりになると思います。

なぜなら、脳がもっとも酸素の消費が高いので、当然その分活性酸素の発生量が多いということになるからです。からだは丈夫だが、脳の機能が消失するアルツハイマー症や痴呆症はまさに脳の大半が酸化してしまったことによって起こる現象です。

また、加齢による脳の軽い酸化現象としては、女性によく見られる更年期障害があります。この障害は、特に脳の視床下部と脳下垂体が酸化を受けて、機能が低下したことが原因と考えられます。
「視床」は全身から情報を集めて、それを処理する場です。「脳の司令塔」といった機能があります。また「視床下部」は、字のごとく視床の下部にあって、自律神経を支配する「生命中枢」です。これもまた重要な機能を担っています。

一方「脳下垂体」は視床下部の命令を受けて、からだの恒常性を保つ種々のホルモンを分泌する大豆大の器官です。

これらの部位が、加齢とともに活性酸素の消去力が低下して、酸化を受けると、その機能に乱れが生じるのです。その結果、暑くもないのに汗をかいたり、血圧が乱高下したり、内臓の動きが変化して便秘になったり、躁と鬱を繰り返したりといった症状が出ます。原因がわからないので病院へ行くと、必ず自律神経失調症かまたは不定愁訴といった病名になります。病気ではなく視床下部と脳下垂体の老化と酸化が原因なのですから、どのような薬を飲んでも根本的な治療は出来ないのです。脳の老化と酸化を止めて還元化する以外、治す方法はありません。

このように細胞社会をコントロールしている脳の機能が低下することによって発症する病気は、将来、まだまだ増えるものと思います。

まとめ

私の本来の専門は動植物や微生物を含めた「生物学」ですが、これらの生き物が罹る病気に関心がありましたので、さらに分野を「細胞学」「病理組織学」「免疫学」と広げてゆきますと、病気とは「細胞の病」だという概念に行きつきました。

さて、我々のからだは60兆個の細胞の集合体ですから、個体の健康は細胞一つひとつの健康のトータルということになります。

健康を考える場合、生き物としての細胞の健康を常に意識下に置くことが肝要です。俗な表現をすれば細胞に快適な環境と食べ物を与え細胞がいつもニコニコ笑っている状況を作れば健康の維持、増進が約束され、そしてその先にスーパーヘルスの世界があるのです。

■東洋医学と西洋医学の違い

さて、医学には「西洋医学」と「東洋医学」があります。西洋医学は病気の原因を体の外部から侵入してくるウィルスやバクテリアとし、抗生物質などで排除する攻撃的な手法をとります。

これに対し東洋医学では、病気は飲料水や食べ物、生活態度といった生きるための基本の狂いが蓄積してからだの内部から起こるという見方をします。治療は当然、これを正すという手法をとります。

近年多発傾向にあるガン、糖尿病、膠原病をはじめとする成人病は、まさに体の内部から噴出した慢性疾患ですから、東洋医学の手法を用いなければ治らないのです。

現在、難病と言われる病気のほとんどは自らの内部に原因がある自己疾患ですから、西洋医学的手法で抗生物質、抗ガン剤、ステロイド剤などを用いる攻撃的な医療では完治しないのが当然のことで、それゆえ難病なのです。
一方、外部から原因微生物が侵入して発症するコレラ、チフスといった感染症に対しては、西洋医学はその攻撃的な手法が医療を発揮しますが、東洋医学の手法では太刀打ちできません。
以上のような両医学の長所と短所の特徴をよく認識した上で使い分けることが必要です。

■細胞内のコミュニケーションは健康の要

私達のからだを構成する60兆個という途方もない数の細胞群も、最初は1個の受精卵が分裂して増えたものです。
ですから60兆個の細胞は皆、すべて兄弟ということになります。そしてこれらの細胞は一時も休むことなく互いに会話を交わしながら、情報を交換して生活しています。このコミュニケーションの手段として神経があり、ホルモンがあり、細胞活性物質プロスタグラディンがあるのです。

今風にいえば神経が電報、電話、FAXです。ホルモンやプロスタグラディンが手紙、葉書といった郵便物、そして宅急便に当ります。
これらの情報交換がスムーズに行われている時には何ら問題はないのですが、情報の流れが悪くなったり、間違った情報が届いたりしますと、細胞は混乱をきたし、パニック(ノイローゼ)に陥ります。
そして、細胞で構成される組織や器官がバランスを崩し始めると、からだに病気というシグナル、症状が現れます。細胞のコミュニケーション手段としてのホルモンや自律神経の存在を考えるとき、そのバランスの重要性がおわかりいただけると思います。

■細胞分裂は健康増進のチャンス

ところで、生き物である細胞には当然のことですが、寿命があります。
例えば皮膚細胞は4〜5日、胃細胞は約40日、血液細胞と骨細胞は約120日の寿命で、寿命がくればその細胞は死滅します。
死んだ細胞の空いたスペースにその近くの別の細胞が、2個に分裂して新しく誕生した細胞が入ることになります。死滅する細胞と新しく誕生する細胞の数は成人で1日5,000億個以上にもなります。

古い細胞に寿命がきて死滅し、新しい細胞に入れ替わる状況を私達は新陳代謝と呼んでいます。

さて、健康を考える上でこの新陳代謝が重要なポイントになります。細胞が新しく入れ替わる時が健康を増進させたり、からだを立て直すチャンスなのです。どういうことかと申しますと、新しく誕生する細胞が元の細胞よりも機能的に優れた元気の良い細胞であれば、そして、それが連続して誕生すれば、健康は確実に増進することになります。
何しろ1日に5000億個以上の細胞が入れ替わるのですから、病気を治すにも数ヶ月もあれば十分です。逆に元の細胞よりも質の劣る細胞が作られるようなことがあれば、健康は徐々に低下し、ある時点で慢性疾患を発症することになります。

■よい細胞のためのよい食事、よい水、そして深呼吸

では、活性度の高い、機能性に優れた細胞を作りつづけるにはどうすれば良いのかと申しますと、まず細胞を構築するために必要な材料の質を高め、量を確保することから検討に入らなければなりません。
また、細胞は好気性(酸素を求める)の生き物なので、血液中の酸素濃度を常に高い水準に維持する必要があります。タバコが有害といわれるのは含有する発ガン物質よりも、タバコから出る一酸化炭素が酸素と強烈に結合することにあり、肺での酸素吸収を阻害することの害が大きいのです。
逆に深呼吸は酸素の吸収を促進するので、ラジオ体操でも最初と最後に深呼吸を十分に行うのです。細胞と健康のために、日常、積極的に腹式深呼吸をするのは大変良いことです。

■高齢社会は、重みのある社会

今後日本が高齢化社会に向かうのは必然であります。しかしあたかも日本が将来、なにか暗い社会に進んでいくような印象を受けるイメージで伝えられていますが私は逆に、高齢社会は、高齢者の経験が活きる、重みのある底辺の安定した素晴らしい社会であると思います。
今までにない形態と機能を備えた新しい社会が築けるのではないかと期待しています。
世界には多くの国がありますが、食料の問題や医療の問題があって、高齢社会を作りきれないのです。高齢社会を築けるという日本は、誇りとすべきで、もっと物事を発展的に考えると良いと思います。ただし、高齢になっても社会に貢献できる健康体であること、特に「脳を老化させない、酸化させない」ように壮年期から予防医学の知識を身に付けて、自分のからだは自分で守るという姿勢が重要です。

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